研修会で共有できたこと

3 初期対応(初めてハウスを利用する人への対応)

【事例発表 概要】 Cハウス・ハウスマネージャ

分科会でのディスカッションのポイント

利用者対応の基本理念

ハウスはホテルとは違って、一種の「コミュニティ」となっています。寄付者、ボランティア、そして利用者本人も協力者となっていることで、ハウス運営が成り立っています。利用者にもその基本理念をよく理解してもらえるように、ハウスのことを説明する必要があるという意見が多く出ました。

参加者アンケートより
  • ハウス運営の基本理念(利用者も運営に責任あり)を理解してもらうことが重要。
  • 利用者もハウスの一員としてハウスを使ってもらいたいと思いました。受付の時にちゃんと説明をして利用してもらう。ハウスを必要としている利用者の立場になる。

伝える姿勢

ハウスでは複数の利用者との共有スペースがあったり、利用者からも運営にご協力いただく必要があることがあります。そのため、ハウス利用上の決めごとがありますが、その意味合いが大切になるという意見が出ました。ハウス運営者が「楽」をするためのルールではなくて、利用者のためにハウスがあるのだから、ハウスを利用する方々が安心・安全に過ごせるようにするためであるという前提に立つことが重要です。そうすることで、決めごとを守ることが、結果的にハウスを利用するご本人のためになるということが伝わると、利用者も理解して協力していただきやすくなると考えられます。

参加者アンケートより
  • ハウスをわかってもらうために、利用者をわかってあげること。
  • ハウスを利用する上での規則を守ることは利用者にとって快適で安全な生活を送る中で重要であるということを、施設側が利用者へ周知することは大切だと感じました。利用者によって感覚や認識も異なるため、その人自身の思いを受け止めつつも、親として利用者としての自覚を持ってもらう言葉がけが重要であると感じました。
  • 利用者のためのルールであることを伝える必要がある。事業者の都合ではないことを伝えることで信頼し、理解される。

伝えることの明確化

ハウスを初めて利用する人、特に緊急でハウスを利用する人は、なかなかハウスのイメージを持てず、また説明をしっかり聞ける状況にないことも多くあります。そこで、最初に伝えるべき、ハウスの決まりごとを明確にする必要があるという意見が多く出ました。例えば、ハウスでは次の利用者のために掃除にご協力いただくという決まりごとがあることが多いと思いますが、「きれいさの基準」は人によって違うので、具体的に掃除してほしいところや注意点を伝えるようにしてはどうかという意見が出ました。

ただし、病気の子どもの病状がよくなかったりする場合など、ハウスを利用している家族に余裕がない場合などは、決めごとを超えて、ケースバイケースで対応していく必要性も再確認しました。

参加者アンケートより
  • 初期対応のルールの明確化は必要。
  • 基本的な利用マニュアルの整備が重要であり、ハウス運営の基本理念に基づき、利用者に目線を合わせた面談が必要。
  • 関わる人(私どもの場合ボランティア)全員がマニュアルを作成し、それを利用者に理解していただき、各部屋にもマニュアルを常備してあります。結果ほとんどトラブルはありませんでした。
  • 規制はもうけるが個々に対応。

わかりやすく伝える工夫

特に緊急で入院してハウス利用が始まるケースなど、ハウスの使い方・決めごとを十分に理解してもらうための時間と気持ちの余裕がない場合の工夫についても意見交換ができました。例えば、事例発表にあったように、最低限理解してほしいルールを小さなカードに簡潔に書いて渡すなどの工夫です。

参加者アンケートより
  • 最低限守ってもらいたいルールを書いた名刺サイズのリーフレットを渡すという案は参考になった。必ずしもすべての利用者さんが冷静な状態でいられるわけではないので、紙に書いてあるということで、ルールの徹底になるはず。
  • カードでの提示。混乱時の説明の理解のあやふやさを知っておく。