研修会で共有できたこと

2 きょうだい児保育

【事例発表 概要】 発表者:Bハウス理事

分科会でのディスカッションのポイント

きょうだい児保育のニーズ

「きょうだい児」とは、病気の子ども(病児)のきょうだいのことです。親は病児のことで頭がいっぱいになり、きょうだい児の面倒を十分に見られなくなることがあります。そうすると、きょうだい児の心理的ストレスが大きくなることがあります。そういうときに、親が病児の入院に付き添うときなど、親のサポートとして、きょうだい児保育が必要になる場合もあるということを理解しました。また、きょうだい児に十分に接することができないことに、親が自責の念を感じていたり、逆に気づいていないようなケースがあるという話も出ました。親の状況も踏まえながら、専門的な保育が必要になるだろうとの意見が出ました。

参加者アンケートより
  • ファミリーハウスをただの宿泊施設として見るのでなく、病院に隣接しているという利点をうまく理解し、きょうだい児および親の悩みを解決できるというのは、良いことだと思った。
  • きょうだいに対する心のケアも大切。母親の目の届かないところをお手伝いする。
  • 患者さんでない「きょうだい児」の抱える問題に目を向ける必要性を考えさせられた。反面リスク対応の重要性は高いと感じた。
  • 病児の治療が一番になり、ついつい後回しになってしまう、きょうだい児のケアは大切だと思いますが、きょうだい児を預かるということには難しいところがあります。

心理面のリスク

きょうだい児は、ストレスが大きいことが多いので、専門性のある保育が必要だろうという意見が多く出ました。一般の保育所のように、集団の中で保育するのではなく、個別の専門的な保育が必要になると考えられます。

参加者アンケートより
  • 今まで我慢していたきょうだいに甘える場所ができたことで、一時的に荒れてしまうこともあり得るとうかがい心してかからねばならないと認識しました。
  • リスクを抱えた子どもの保育の専門的知識の必要性について考えさせられた。
  • 保育士に特別なスキルが必要になるということ。

感染症のリスク

きょうだい児保育をハウスで実施する場合は、ハウス内に病児がいることもあるので、感染症への対応を十分考えておく必要があります。事例発表のBハウスでは、ハウスの構造上、完全に独立した部屋の利用が可能なので、きょうだい児保育に比較的安心して対応できる環境にあると考えられます。しかし、そうではないハウスの場合は、病児への感染リスクを考えて対応していかざるを得ないという意見も出ました。

参加者アンケートより
  • 大型ハウスではきょうだい児保育は感染症の観点から難しいのではないかと感じました。だからこそ他の団体や行政とつながり、病児を持つご家族を様々な方向から支援できるといいのかなと感じました。

病院・地域資源との連携

ハウスで保育を実現することが難しくても、病院や地域と連携して、きょうだい児保育のニーズに対応していく可能性についても意見交換がされました。病院の中で、家族看護という視点から、場合によっては、きょうだい児も一緒に病棟で過ごせる可能性があるという意見が出ました。例えば、ターミナルのときに、きょうだい児の体調がよければ、緩和ケア病棟の家族が泊まれる部屋を利用するというケースなどです。また、ハウス近隣の託児所、保育所、学童保育などの地域資源を活用して、きょうだい児の保育をしていくという可能性も考えられます。特に、Bハウスのように、通院での保育ニーズの方が大きい場合は、短期間の保育になるので、地域資源との連携で、きょうだい児保育の可能性を考えていくことも意味があるのではないかという意見が出ました。

参加者アンケートより
  • 病院との連携、行政の助け、地域の保育施設やファミリーサポートが利用できたら、など。