おわりに

本研修会を実現できたのは、ひとえに、独立行政法人福祉医療機構「社会福祉振興助成費補助金」の助成、およびご協力ご支援いただきました多方面の方々のご厚意とご尽力によるものです。

研修会実施のために「検討委員会」を招集し、委員の皆様から貴重なご意見をいただきました。お忙しい中、ご協力いただきました委員の皆様に感謝申し上げます。

そして何より、研修会にご参加いただき、様々な情報交換にご協力いただいた全国のハウス運営団体の皆様、この会のためにご尽力いただきました認定NPOファミリーハウスの仲間に、心からの御礼を申し上げたいと思います。

日本では1990年前後から、「病院近くのわが家」の必要性を感じた人たちから始まった活動が、各地に広がりました。当初は闘病経験のある家族や、同じ問題意識を持つ医療従事者が中心でしたが、現在では、活動の輪が広がり、多方面の方々からご理解とご支援をいただけるようになってきています。

20年あまりに及ぶ活動の中で、私たちは常に「だれのためにこの活動があるのか」という原点と、「利用者さんのために自分がなにができるのか」という問いを大事にしてきました。そのような思いで経験を重ねたことが今回の報告につながったと思っています。

ホスピタル・ホスピタリティ・ハウスと呼ばれるこのハウスがもつ「ホスピタリティ」を日本語で表現することは、思うよりも難しいことでした。ホスピタリティは、人によってそれぞれに違う、受ける人や場所によっても違うからです。

しかし、それはシンプルで、確かにそこに存在し、それを受け取った人は、それをまた別の人に手渡すことができるようになります。ある人はそれを 「人として当然のこと」「当たり前のこと」といいます。

それをどう表現すればいいのか。今回の研修はその難しい問いへの最初のチャレンジとなりました。結果は本紙でお示しした通りですが、これをきっかけに、このハウスの魂とも呼べる「ホスピタリティ」についてさらに議論を深めていきたいと願っています。

現在、行政や福祉の現場でも自分たちで行う事業を「サービス」と呼びます。私たちもともすれば、「ハウスではどんなサービスを心がけていますか」 という質問をうけることもあります。

しかしハウスにあるのは、「サービス」ではなく、「ホスピタリティ」です。なんらかの支払いに対する対価がサービスというのであれば、対価をもって はかれないのがホスピタリティ、ということにもなるのでしょうか。

「つかえる」という奉仕性ではなく、対等に相手を迎え入れる「こころ」や「きもち」「おもい」「お金で購えないもの」そういったものを大事にしてきたハウスには、ボランティアや見返りを求めない寄付が不可欠でした。

ボランティアは安い労働力ではありません。自発的に、対価を求めず、誰かの役に立とうとする気持ち、それこそが、利用者さんの心に届く何かを持っているということを私たちは知っています。

ちいさくても、誰の中にもあるその気持ちをどう現実化し、適切に相手に届けるのか、今後も皆さまと一緒に考えてまいりたいと思います。最後に、改めまして、研修会にご協力いただきましたすべての皆様に心より御礼申し上げます。

認定特定非営利活動法人ファミリーハウス
2012年2月吉日

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